第47回こども劇場  

上演時間 55分
  宮沢賢治の原文による構成劇

イーハトーヴォものがたりパート6





 
会場条件
    間口 11m
    奥行 6m
    高さ  3m以上
  宮沢賢治の文学作品群を原文のまま台本構成して舞台化する「イーハトーヴォものがたり」シリーズ第6作。
 賢治は自費出版した童話集『注文の多い料理店』のなかで、「どんぐりと山猫」のことを、《山猫拝と書いたおかしな葉書が来たので、こどもが山の風の中へ出かけて行くはなし。 必ず比較されなければならないいまの学童たちの内奥からの反響です。》と説明しています。

 「やまなし/どんぐりと山猫」は、自然と呼応する子どもや小さな生物の目線になって、かれらの心象風景をみつめます。
 詩情あふれる音楽に支えられて、俳優が影絵や人形を使いながら語り演じ、原文の魅力にふれる劇世界をつくりだそうと試みています。



    や ま な し  影絵
       
 
 
 小さな谷川の水底でカニの子どもらが話していました。

クラムボンはわらったよ。
クラムボンはかぷかぷわらったよ。
クラムボンは跳ねてわらったよ。
それなら、なぜクラムボンはわらったの。


  

 カニの子どもらもぽっぽっぽっと、泡をはきました。
泡はゆらゆらゆれながら、水の中をのぼってゆきます。

お魚は、なぜ行ったり来たりするの?

青白い水の底、波にゆれる光の網。
子ガニらの眼に映る美しい不思議な幻想風景。


    どんぐりと山猫 
      

おかしなはがきが一郎のうちにきました。
 
          『 かねた一郎さま     九月十九日

          あなたは、ごきげんよろしいほで、けっこです。
          あした、めんどなさいばんしますから、おいで
          んなさい。とびどぐもたないでくなさい。 

                                                        山ねこ 拝 』


        こんなのです。一郎はうれしくてその夜は眠れませんでした。

翌朝、一郎は谷川にそったこみちをのぼっていきました。

栗の木や笛吹きの滝、白いきのこ、そしてりすに教わりながら
森の奥に入っていくと

そこで奇妙な姿の男に出会います。 
 

「お前は一郎さんだな

あのはがきはわしが書いたのだよ

わしは 山ねこさまの馬車別当だよ」

            
 すると、風がどうと吹いてきてとうとう山猫があらわれました。

 こんどは草むらからたくさんのどんぐりたちが飛び出して
みんな口々になにか言っているのです・・・・・・。

「なんといったって頭のとがってるのがいちばんえらいんです。
いいえ、ちがいます。まるいのがえらいのです。
そうでないよ。大きなことだよ。」

がやがやがやがや、どんぐり裁判がはじまりました。


 さあ、一郎はどんな裁判の様子をみたのでしょう。


つつきはお芝居のなかで・・・・・・。




                           劇中に登場する宮沢賢治の詩◇
 
 
     『風景』
    『原体剣舞連』  (部分)
 
     雲はたよりないカルボン酸
さくらは咲いて日にひかり
また風が来てくさを吹けば
きられたたらの木もふるう
・・・さっきはすなつちに厩肥をまぶし
   いまは模型のコバルトガラス・・・
むらきなひばりのダムダム弾が
いきなりそらに飛びだせば
   風は青い喪神をふき
   黄金の草 ゆするゆする
雲はたよりないカルボン酸
さくらは白く日に光る
 

むかし達谷の悪路王
まっくらくらの二里の洞
わたるは夢と黒夜神
首は刻まれ漬けられ
アンドロメダもかがりにゆすれ
青い仮面このこけおどし
太刀を浴びてはいっぷかぷ
夜風の底の蜘蛛をどり
胃袋はいてぎったぎた
dah-dah-dah-dah-dah-sko-dah-dah


 
  詩集「春と修羅」(古谷網武 編)より    新修 宮沢賢治全集 第二巻/詩Ⅰより   



   つくった人たち    

  
      演ずる人たち    
  
原    作

台本構成
演   出
音   楽
舞台美術
照   明
音響効果

衣裳・人形製作

宮沢賢治

中村 欽一
せらだひとし
中村びわ
古沢 咲
野中一賢
佐藤太一
古沢 咲
 
    


音楽録音 ピアノ
       チェロ
       打楽器
妖精人形
影絵 魚
舞台監督
制      作
 



中村 忍
富山節子
中村周平
保坂純子
西山三郎
鈴木四郎
石川祚子
 












小川 ゆう
秋山 としひと
新井 ちゅう
石川  けんじ
石関 さえ


  イーハトーヴォものがたりシリーズ
1992年 パート1  とっこべとらこ/なめとこ山の熊
1993年 パート2  とっこべとらこ/やまなし/蛙のゴム靴
1999年 パート3  ありときのこ/注文の多い料理店
2002年 パート4  
やまなし/雪渡
2005年 パート5 
なめとこ山の熊
2015年 パート6  やまなし/どんぐりと山猫
2016年 パート7  やまなし/雪渡り

 
構成 中村欽一,ふじたあさや  演出 ふじたあさや
構成 中村欽一,ふじたあさや  演出 中村欽一
構成 中村欽一  演出 幸 晃彦
潤色・構成 中村欽一  演出 幸 晃彦
構成・演出 中村欽一,ふじたあさや
構成・演出 中村欽一
構成・演出 中村欽一